芋虫ブログ

映画、カレー、芸人ラジオ、ミステリの感想など。基本、好きな物のみ取り上げます。

【映画】最近観た映画(2019年1月〜3月あたり)

 

簡単な映画の感想です。

 

 

 

1.『スパイダーマン:スパイダーバース』

 

何者かにより時空が歪められたことで別次元のスパイダーマン達が集まり……というアニメ映画。

最高に面白い。映像とテンポが凄い。パステルな世界で息つく暇なく物語が進む。6人のスパイダーマンのキャラクタも活きていて、コメディもセンスが良いし、とにかく観ていて面白い。まだ可能ならこれは映画館で観た方がいいと思う。 

ストーリーがどうという映画ではなく、とにかく気持ち良いアクションシーンが連発されるのを楽しむ映画。街中での戦闘は勿論、林の中での追いかけっこ、民家の中での集団バトルなど見所たくさん。各スパイダーマンのアクションもまちまちで観ていてワクワクする。

過去のシリーズ作品を基にしたコアなギャグもあるみたいだけど、前知識なしでも十分楽しめます。個人的にはスパイダーマン映画で一番好き。あと日本人の萌え系(?)少女スパイダーマンが出てくるんだけどやたら可愛い。

 

 

 

2.『クール・ランニング

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熱帯の国・ジャマイカの若者四人が、未経験のボブスレー冬季オリンピックを目指すスポーツ・コメディ。

 

これも最高の映画。陽気な音楽に合わせて明るい若者たちが夢に向かって努力する、こんな素晴らしい筋書きが他にあるか?

老若男女、全世界の誰にでも自信を持ってオススメできる安心の名作。

90年代のアメリカ映画なので、展開もキャラもコメディシーンもコテコテなんだけど、それら全てが愛おしい。安心して見ていられる。特にジャマイカの若者達がカナダの寒さにビビったり、氷上でズッコけたり、南国と雪国のギャップを描くコメディはつい笑ってしまう。

ラストはちょっと(?)意外な展開だけど、正直ボロボロ泣きました。チームのメンバーも嫌な奴はおらず、仲違いしてたメンバーも気付けば抱き合って励まし合っていて、本当に観ていて気持ちが良い。 たまにはこういう、心の底から明るく気持ちが良い映画も良いものだ。

 

 

3.『劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ』 


 


新宿でボディガードや探偵を請け負うスイーパー・冴羽獠の活躍を描くハードボイルドコメディ。

 

舞台は2019年の新宿だが、内容は良くも悪くも従来通りで、「当時の視聴者に気楽に楽しく観てもらう」事を目指した映画(例えば当時の歴代主題歌を連発したりする)。

ただし『シティーハンター』という圧倒的に安定した物語の下地があるので、初見でも置いてけぼりになることは一切なく、大人から子供まで楽しく観れる作品。多分。

時代の流れを表現する為に、あえてドローンとかペッパー君みたいな近年のアイテムが登場したり新しい新宿の街並が描写されるが、ストーリーの筋(獠ちゃんの魅力)にはほとんど影響させないことで、シティーハンターという物語の強固さを描いている。

当時と変わらぬお色気ギャグシーンも満載で、映画開始当初は

「今の時代だと色んな団体に叩かれるのでは……」

「暴力女だとか非難する奴も出てくるのでは……」

などと心配してしまったが、個人的には作品の空気をちゃんと掴み取れれば何の不快な気分も生じない作品だと思う。多分。

 

シティーハンターという作品を一発で知れる良い映画。出来れば新宿で観たかったが、新宿の映画館だけやたら混んでいた。

 

 

4.『ベニーズ・ビデオ』

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ハケネ監督。豚の屠殺映像に執着する少年が、路上で出会った少女を自室に招き……という映画。

 

安定の不快感。しかしハケネ監督の他の映画と比べて、エンタメ性も低い気がする(単に初期作品だから?)。主人公の行動原理はずっと謎のままで、一言で言うとサイコパスなんだけど、別にサイコパス味を楽しむ映画でもないのがシュール。別に自意識や社会を描いている訳でもない。これはつまり暴力装置なのだ。観客を殴る代わりに不快にさせるための映像。作中で繰り返し流れる屠殺映像そのものだ。

 


事件の動機は「現実感の喪失」で、ビデオ(メディア)ばっかり見てきた少年は現実世界にリアリティが持てない(残酷な事も出来てしまう)という話なんだけど、果たしてこの少年と僕らは何が違うのか? しかもそれを映画(メディア)で見せられるのだ。たまったものではない。

殺人(人が死ぬ事)は重大な事だろうか? 映画で人が死んだって誰も驚かない。ニュースで人が殺されても驚かない。人が死ぬ事って本当に大事件なのか? 人と会わずに映画(メディア)ばっか見てる人間に、答えられるだろうか。そういう映画。

 

 

5.『21世紀の女の子』


若手女性監督12人による、ジェンダーに関するオムニバス。一生分のサブカル女子を見た。生き方に悩むサブカル女子がポエムを呟く映画群。同じ世代・同じテーマという制限が強すぎて、似たような映画が多い感はあったが、印象的な作品もいくつかあった。


まず、おそらく一番の問題作『回転てん子とどりーむ母ちゃん』(監督:山中瑶子)。中華テーブルに座った幼児を囲んで、女達が点心を食べながら男の愚痴を言う話なんだけど、愚痴がリアルかつリズミカルで面白かった。意味は分かりません(褒め言葉)。

 

次に、『セフレとセックスレス』(監督: ふくだももこ)これが物語として一番良く出来ていて、一番まともだと思う。セックスレスになったセフレ男女が、まるで熟年夫婦のような馴れ馴れしい会話をする話。セリフ運び、演技、展開ともにトップクラス。良く出来ている。結婚適齢期の男女の気まずさ。

 

個人的にセンチな気分になったのは『I wanna be your cat』(監督: 首藤凜)。温泉旅館にて、書けない女流シナリオライターとおじさん監督(?)がカンヅメする話。ライターは美人だし、おじさんの後輩の台詞に痺れる。何より明るいのが良い。

 

映画全体について。そもそもオムニバスというのは「色々なタイプの作品が見れて楽しい」のが魅力だと思っていたが、この企画はむしろ、敢えて似たような雰囲気の作品を作らせているようにすら思える。「作品の連打」によって、自意識にあえぐ女の子の普遍性や逃げ場のなさを描いているのかもしれない。

 

 

 

 

まとめ

クール・ランニング』をとにかく広くお勧めしたい。素晴らしくハッピーな映画だ。

スパイダーマン・スパイダーバース』も良かった。今年を代表する一作になるだろう。

『ベニーズ・ビデオ』も、暗いので人には勧めづらいが、必ず視聴者に何かを残していく味わい深い作品だ。

シティハンター』『21世紀の女の子』も、視聴者を期待しているものをきちんと提示している作品だと思う。

公開中の映画も、古い映画も、バランスよく観れている。新旧の映画をともに楽しめる懐の深いファンで居たい。