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芋虫ブログ

当分は映画感想がメインの予定。基本的に、面白かった作品・好きな作品のみ扱います。

【推理小説】 通ぶりたい人におすすめのミステリ小説 <国外編> 【8選】

 


「どうしてもミステリオタクぶりたい!」
そういう時ってありますよね。

そんな人におすすめの、「とりあえずコレを読んでおけば通ぶれるよ!」というミステリ小説のガイドです。

 

要するに、よく話題に上がる有名な海外ミステリ小説をピックアップしました。

 

  

※「面白さ」ではなく「よく話題に上がる」を基準に選定しました。

※下に行くほど新しい作品です。ただ、今回はどれも古典です。

※国内編は別にまとめます。

 

 

では、どうぞ。

 

 

 

 

①『モルグ街の殺人』/ エドガー・アラン・ポー

モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)

モルグ街の殺人・黄金虫―ポー短編集〈2〉ミステリ編 (新潮文庫)

 

  

史上初の推理小説*1

 

私立探偵オーギュスト・デュパンが、屋敷の一室で起きた密室殺人事件の真相を追う。あまりに惨たらしく殺されていた遺体を見て、犯行は遺恨によるものだと推定されるが……という内容の短編です。

 

史上初の推理小説でありながら、既に「天才的な探偵」「平凡な語り手」「愚鈍な警察官たち」「密室」「意外な犯人」といった推理小説の基本的な要素を揃えている点は驚嘆に値します。

 

特に「意外な犯人」ですが……ある意味、史上初にして史上最高の真相とも言えます。
そういう意味でも語り草になっている作品です。
推理小説とは何か」「どこまで許されるのか」という議論の時、まずこの作品(の真相)が話題に上がることでしょう。


短編ですし、既に著作権切れで青空文庫にあがっていますので、ぜひ一読ください。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000094/files/605_20934.html

 

 

 

②『緋色の研究』 / コナン・ドイル

緋色の研究 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)

緋色の研究 新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)

 

 

かの有名な「シャーロック・ホームズ」シリーズの一作目。

おそらく、世界で最も有名な探偵です。

 

医学博士のジョン・H・ワトスンが、化学にやたら詳しい奇妙な顧問探偵「シャーロック・ホームズ」と出会い、共同生活を始める。そして街で起きた不可解な殺人事件の調査に乗り出す……というお話。

 

一言で言うと、史上最高のキャラクター小説です。
シャーロック・ホームズというキャラクターの魅力はここでは語り尽くせません。彼ほど読者に愛された探偵は他に居ないでしょう。

生活能力は低く、社会常識も全く無いけれど、事件に対しては天才的な頭脳を発揮する……現代の物語に多く見られる「ギャップを持ったヒーロー像」も、このキャラクターが形にしたものと言われています。

 

ちなみに、このシリーズは「読者が推理する」タイプのものではありません。*2
例えば、本作は二部構成となっており、二部でいきなり場所・時系列・雰囲気がガラリと変わるのが特徴的です。二部はサスペンス仕立ての冒険小説となっています。

そういった部分を楽しみながら読むのがオススメです。

 

 


③『黄色い部屋の秘密』 / ガストン・ルルー

黄色い部屋の秘密〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
 

 

マニアの間で人気が高い、密室物の傑作。

 

ある屋敷にある「黄色い部屋」で、女性の死体が発見される。血まみれの彼女は明らかに他殺だが、部屋は密室状態。事件の謎に、新聞記者のルールタビーユが挑む……というお話。

 

とにかく密室のトリックが素晴らしい作品です*3
一般読者の人気というよりも、ミステリ作家に人気が高い作品という点が特徴的。
古くは江戸川乱歩も海外ミステリ1位に挙げており、マニア間では知名度が高いです。

 

また「密室に名前を付けた」という点も画期的でした。

「黄色い部屋」という言葉が印象的なためか、この言葉をもじった作品・評論も見られます。

まさに「通ぶりたい人」が読むのに最適なミステリでしょう。もちろん面白いですよ!

 

※ちなみにこの作者は、この作品以外はミステリであまり話題になりませんでしたが、後にあの『オペラ座の怪人』を書き、大ヒットを記録します。

 

 


④『アクロイド殺し』 / アガサ・クリスティ

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

いわゆる『○○トリック』の金字塔。

 

とある未亡人の不審な死。当初は事故死と見られたが、どうやら自殺であるらしく、そして過去の事件も関係しているらしい。一連の事件を、私立探偵エルキュール・ポワロが引き受ける……というお話。

 

この作品のポイントは、何といっても「反則スレスレの意外な犯人」です。

ミステリ史上に名を刻む、大規模な「フェア・アンフェア論争」*4がなされた作品です。

この作品以後、ミステリ小説は「ミステリ小説のルールを覆すような、意外な真相(犯人)」を追い求めることになり、そしてそれに関する論争が延々と繰り返されることになります。

トリックの是非を語る上では、読んでおきたい一作です。

 

また、有名な探偵である「エルキュール・ポワロ」シリーズの一作であることも大きなポイントです。

 

 

 

⑤『Xの悲劇』 / エラリィ・クイーン

Xの悲劇 (角川文庫)

Xの悲劇 (角川文庫)

 

 

究極の論理ミステリ。「犯人は誰か?」(=フーダニット)の最高峰。

 

満員状態の市電の中で、ある若者が殺される。死因は、ポケットに投げ込まれたニコチン漬の針だった。捜査に困窮した警察は、探偵ドルリー・レーンに捜査を依頼するが……というお話。

 

この作品の特徴は、とにかく論理的であるという点です。ここまで理詰めで考えていく小説は、ミステリ小説でも珍しいでしょう。そしてそれ故に爽快。

自分で謎解きをする楽しさを知ってしまったら、もうやめられません。

 

また本書には、かの有名な「読者への挑戦状」が記載されています。

「ここまでで推理に必要な手がかりは全て示された。読者諸君、犯人を当ててみたまえ」

これほど興奮できるページが他にあるでしょうか?*5

どこかでネタバレを見てしまう前に、ぜひ本書を手にとって、そして「読者への挑戦状」で一度手を止めて貰いたいと思います。

 

 

⑥『三つの棺』 / ジョン・ディクスン・カー

三つの棺〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

三つの棺〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 

「密室講義」で有名な、論理的・密室・複雑・メタミステリ。

 

グリモー教授の下に訪れた謎の仮面の男が、不可解な言葉を残して消える。そして数日後にグリモー教授は自宅で何者かの凶弾に倒れる。部屋は密室。事件の謎にフェル博士が挑む……というお話。

 

この作品を有名にしているのは、終盤に登場する『密室講義』でしょう。

探偵役のフェル博士は、「我々は推理小説の登場人物だ」と名言(!)し、その上で、推理小説における密室の分類を試みます。その際の文書が『密室講義』です。

『密室講義』はこの後、数えきれないほど多くの小説・評論で引用され、また改善されていきます。

まさにミステリ評論の礎となった作品です。

 

また、このディクスン・カーという作家は、異常に複雑なプロットを組むことで有名な作家です。

読者のミステリ慣れに合わせてどんどん複雑化していった、ひとつの極致がこの作品とも言えるでしょう。

 

長らく絶版になっていましたが、2014年、ついに新訳版が出ました! 是非、手にとってみてください。

 

 

 

⑦『そして誰もいなくなった』 / アガサ・クリスティ 

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

史上、最も売れた推理小説*6

 

とある無人島に招待された見ず知らずの男女10人が、不気味な「犯行宣言」を境に、次々と殺されていく。迎えの船も来なくなり孤島に取り残された彼らは抵抗むなしく殺されていき、"そして誰もいなくなった"……というお話。

 

単純に物語として面白いので読み継がれている作品ですが、
いわゆるクローズド・サークルもの*7の火付け役であったり、ミステリ小説の舞台化・映画化の火付け役になった作品でもあります。

それ故にミステリファン以外にも知名度も高く、パロディも盛んに作られています。

まさに愛され続ける名作と言えるでしょう。

 

 

⑧『大いなる眠り』 /  レイモンド・チャンドラー

大いなる眠り (創元推理文庫 131-1)

大いなる眠り (創元推理文庫 131-1)

 

 

ハードボイルド小説の最高峰、「フィリップ・マーロウシリーズ」の第一作。

 

私立探偵フィリップ・マーロウが、脅迫を受けているある娘の護衛を依頼される。しかし銃声を訊いた彼が見たのは、血を流し倒れた脅迫犯の死体と、裸の娘だった……というお話。

 

おそらく世界で最も有名なハードボイルド小説*8です。

謎解きやトリックではなく、クールで客観的な文体と、マーロウの人間性を楽しむ小説です。いわゆる純文学的な要素も魅力ですね。

 

ハードボイルド小説は、⑦までで挙げたような「謎解き・トリック先行型のミステリ」に対抗する形で登場しました。

こうした形でミステリは細分化されていき、社会派ミステリやユーモアミステリ*9といった新ジャンルが生まれていきます。
そうした系譜を知る意味でも、重要な一作と言えるでしょう。

 

また本作は、日本では1946年に『三つ数えろ』というタイトルで映画化されており、そちらの名で知っている映画ファンも多いかと思います。

 

また、作者のレイモンド・チャンドラーは、人気作家の村上春樹が大きな影響を受けた作家でもあり、村上春樹自身が新訳も出しています。
そういった点からも本作に興味を持つ読者も多いようです。

 

 

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今回は以上です。

まとめると以下のようになります。

 

①『モルグ街の殺人』/ エドガー・アラン・ポー
②『緋色の研究』 / コナン・ドイル
③『黄色い部屋の秘密』 / ガストン・ルルー
④『アクロイド殺し』 / アガサ・クリスティ
⑤『Xの悲劇』 / エラリィ・クイーン
⑥『三つの棺』 / ディクスン・カー
⑦『そして誰もいなくなった』 / アガサ・クリスティ
⑧『大いなる眠り』 / レイモンド・チャンドラー


いわゆるエポックメイキングな作品を挙げたので古いものが多いのですが、今読んでも十分面白いものばかりです。

興味がありましたら、ぜひ手にとってみてください。

 

 

 

 

*1:諸説ありますが

*2:ここも諸説ありますが。

*3:ネタバレ無しでは褒めにくい!

*4:要するに、このトリックが許されるかどうかの議論

*5:もちろん、「読者への挑戦状」が書かれているのは本作品だけではありませんが

*6:売上約1億冊。

*7:隔離された場所から出られなくなった人々が殺されていく話

*8:ここでは「硬派で行動派の探偵が活躍するミステリ」くらいの意味だと思ってください。

*9:=コージーミステリ